相談者の状況・状態例とヒント

 

 セッションに訪れる相談者(クライアント)の状況や状態の例と、その状況や状態への対応方法や見解について書いています。

 ここでは心理療法や脳科学等の理論的な内容よりも、実際の対応例や私自身の体験を中心に記載しています。具体例を挙げているケースもありますが、全てのケースにおいてこの対応が正しい、状況改善するとは言えません。その事例・相談者に応じた対応を行うことになります。全ては、目の前にいる相談者の状況・状態から対応していきます。

 (※相談例と対応内容は、相談者との守秘義務およびプライバシー保護のため、相談をいただいた複数の方の内容を基にしています。)

 

 ※ 現在、コンテンツを書き進め中です。順次公開していきますので、しばらくお待ちください。

 

<<更新情報>>

 2018.01.20  「近親者に自殺者がいる」を更新しました。

 

 

 


相談者の状況および状態例

●近親者に自殺者がいる

●気づくと否定的な考え方ばかりしている

●誰かを見捨てたという思いが強くある

●離婚している、パートナーとの関係性が悪化している

●いつも同じような人と付き合い、辛くなる

 

●近親者に自殺者がいる

起きやすい状況や傾向

 自分の両親やきょうだい(兄弟姉妹)、配偶者(夫や妻、事実上のパートナー)、子どもに自殺者がいる方がいます。そのような人が、多く抱えている心情・感情は、「自分が見殺しにした」「見捨てた」「もっとできることがあったのでは」「あの時ちゃんと話を聴いていれば」といった罪悪感、後悔、自責の念、そして悲しみです。セッションを行っているときによく起きる状況の傾向として、泣き叫ぶ、嗚咽(おえつ)する、などが続くことが多くあります。近親の自殺者についての話題・テーマでは”ない”ときにも、です。

 一方で、そういった方は、日常的にとても明るく振る舞ったり、他者に対してとても思いやりのある優しさを示すことも多い傾向にあります。目の前にいる人を楽しんでもらおう、喜んでもらおう、笑ってもらいたい。目の前にいる人が悲しんでいたら、まるで自分のことのように一緒に涙を流して共感します。それは、とても自然なふるまいに感じます。

 

セッションで起こること・できること

 こういった状況を内面に抱えている相談者に対しセッションでできることは、たとえば泣き叫んでいるとき、その人の抱える深い悲しみとともに、ただその人の状態を見守ることです。相談者は、自分一人のときには、泣き、叫び、嗚咽することはできていたかもしれません。しかし、誰かの前だと、じゅうぶんに悲しみに暮れ、泣くことができなかった可能性があります。誰かの前で泣こうといても、「泣いていても、(亡くなった人は)帰ってこないんだから」「明るくしてなきゃ、(亡くなった人が)天国で悲しむよ」と言われたりするのです。

 職場での執拗ないじめにより自殺した子がいるHさんがそうでした。Hさんの配偶者は、子どもが亡くなったことに対する話題を避け続け、夫婦での会話が大幅に減り、お互い顔を合わせないようになりました。周りの友人や他の親戚に話をしようとしても、さきほど書いたようなことを言われることばかりで、Hさんは、悲しみや罪悪感、後悔を消化しきれず、一人で抱え続けることが数年続いていました。約2年間、月2~4回のセッションをしましたが、最初の一年半、セッションのほとんど時間、泣き叫んでいました。ですが、少しずつ少しずつ、自分が本当にしたいことは何か、という話題にも触れられるようになり、悲しみや後悔からではなく、自分の心底からの喜びに基づいて仕事をすることができるようになりました。

 

親密な他者との境界線があいまい

 また、別の傾向として、配偶者とは別の人と必要以上に親しくなる(固執する)、もしくは、自分の配偶者が他の異性と親しくなる(主に、肉体関係がある)ことを自分のせいにして許容する、ということがあります。どちらのケースも、自分の境界線があいまいで崩れやすい、とも言えます。

 前者の場合、頻繁に会う・メールをする・連絡が遅れることに強く反応(怒る、いらつく、不安にさいなまれるなど)する、といったことなどが起こります。後者の場合、配偶者の不義理を「自分がこういう状態だからしょうがない」「それがあの人にとって必要なことなのだから」と、起きていることは自分のせい、と悲しい気持ちなどを押し隠したり、(無意識に)感じないようにしていることが起こります。

 セッションでは、どちらの場合も、相談者の「正直な気持ち」を表に出してくるような関わりを行います。倫理的・道徳的な判断をするのではなく、相談者が本当に感じていること、願っていることは何か、をゆっくりと時間をかけて、一緒に話していくことになります。たとえば、前者の場合は「なぜその人(他の異性)と頻繁に連絡を取りたいのだろうか」「その行為(返信が来ないとイラつくなど)の奥にある気持ち・願っていることは何か」となりますし、後者の場合は「(配偶者の行為を)本当はどう感じているのか」「しょうがない、自分のせいだと思うのはなぜだろうか」などを感じ取りながら、セッションを続けていきます。

 実際のケースで上記のような対応をしていくと、前者のケースでは、他の異性とはメールの返信がないからといってやきもきすることもなくなり、仲の良い理解し合える友人関係に変わっていきました。後者のケースでは、自分の正直な気持ちに気づき、その気持ちを時間をかけて配偶者に伝えることができました。そして、相手を責めたり自分を卑下したりすることなく、二人でおだやかに話し合っていくことができるようになりました。

 

家系で繰り返し起こっているとき

 もう一つ、別の視点として、もし自分の家系(血縁)で自殺者が多く、繰り返されていることもあります。その場合、もし、自分の家族(近親者)に自殺者がいなくとも、得も言われぬ罪悪感、後悔、自責の念、深い悲しみなどが、心の奥底に存在していることもあります。自分の人生の中で起きた出来事・トラウマではないにも関わらず、強い感情を抱くことを「引き受けた感情」と言います。このような場合、コーチングやカウンセリング(ききや)ではなく、コンステレーションという家族療法により、自らの家系に起こった(知られざる)出来事を観ていく必要があるかもしれません。

(2018年1月20日更新)